Marie Novello (1891/2-1928) - www.78rpm.net

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Velvet-Face 529
Beethoven : 3rd mvt - Moonlight Sonata


Novello & Anderson Tyrer
Marie Novello & Anderson Tyrer duo plays Arensky's Suite


Ivor Novello
Ivor Novello

「レシェティツキの弟子達・その2」~ Marie Novello 第二弾は、78rpmからのCDリイシューも殆ど無い早逝の女流ピアニスト・Marie Novello のレコードを紹介します。


Marie NovelloMarie Novello(1891/2*-1928)は英国で生まれ、その後ウィーンでレシェテツキに師事した最晩年の弟子である。一説によるとミュージカルの俳優で作曲家であった Ivor Novello(1893-1951)と親戚関係にあるらしいが、彼女についての文献なども今では殆ど残されていない。享年30才という早逝の女流ピアニストだが、意外にも多くのアコースティック78rpmレコードを Edison Bell の Winner や Velvet-Face レーベルに残している。しかし、その殆どが78rpmの10インチ盤への片面演奏なので、おのずとプログラムは小品に限られてしまっているのは気の毒な気がする。(*We fixed Novello's birth year by kind advise of Mr. James Methuen=Campbell. 2015.05.04.)

ざっと曲目を挙げてみると、まず10インチ盤でショパン「練習曲 Op.10-5黒鍵」「ワルツ Op.64-2」、ゴダール「マズルカ」、リスト「愛の夢 第三番」「ハンガリア狂詩曲第二番(両面演奏)」、ラフマニノフ「前奏曲Op.3-2」、グリーグ「ノルウェイの結婚行進曲Op.19-2」、シンディング「春の囁き」、シャミナード「エア・ド・バレエ」、ドビュッシー「月の光」「ゴリウォグのケークウォーク」、 スコット「ニガー・ダンス」、ポルディーニ「小さなワルツ」、ベートーヴェン=ルビンステイン「トルコ行進曲」、ルビンステイン「へ調のメロディ」、シューベルト=タウジッヒ「軍隊行進曲」、そして一番興味深いレシェティツキ「トッカータ」など。

数少ない12インチ盤には、バッハ「トッカータ」、ショパン「バラード第三番Op.47」「練習曲 ホ短調 Op.25-5」、ドビュッシー「沈める寺」、ベートーヴェン「月光ソナタ」から第一楽章と第3楽章、Anderson Tyrer(1893-1963)とのピアノデュオでアレンスキー「ワルツ~二台のピアノの為の組曲Op.15-2」(Bauer と Gabrilowitsch のレコードが有名)、そして恐らく一番の大曲で12インチ3枚5面を費やしたオーケストラ伴奏付きのメンデルスゾーン「ピアノ協奏曲 ト短調」と残りの1面に収録された「ロンド・カプリチオーゾ」などが残されている。(この時代には良くあった事のようだが、これらのレコードは1913年頃に録音されたものと、1920年頃に再録されて差し替えになったものが幾つか存在する事が、マトリックス番号の違いによって判明している。)

その他には、唯一の電気録音を英HMV10インチ盤(1928年頃)にアレンスキー「コンサート・エチュード」とラモー「ガヴォット」を、ピアノロールにはドヴォルザーク「ユーモレスク」などを Duo-Art に残している。
これらのレコードで聴くかぎり Novello は女性的というより、おおらかなテンポで大きく弾くタイプのピアニストだった様で、小品よりも大曲の演奏に向いていたのではないかと思う。ただ、大曲の録音に向いているピアノロールに、たった一曲の小品しか残していないのは不思議としか言い様がない。残念なことに Edison Bell の録音はアンビエンスの多さとサーフェイス・ノイズから、演奏の微妙なニュアンスが聴き取り辛い。これはペダリング、レガート、音色に反映する特色が判らないという事なので、判断材料としてはテンポ、ダイナミクス、ルバートなどの要素に頼らざるを得ない。12インチ盤ではその物理的な余裕からか活きいきとしており、「バラード第三番」ではゆったりとしたテンポとロマンティックな休符で、レシェティツキ派の優美な演奏を今に伝えている。また、HMV の録音の方では、Edison Bell 録音で受ける印象のように、エッジのぼやけた感じはなく、むしろ明快なタッチと音色を持っていたことがわかる。
実にレコードとは、曖昧で頼りないものだが、何故かそういう所にも愛着を感じてしまう。これらのレコードも秋葉原でのSPレコード即売会や、海外のカタログなどで、コツコツ時間をかけて集めたが、よくよく考えるとなんとも物好きな話だ。現在CDでは、英Pearl "Pupils of Leschetizky" にて収録の2曲を聴くことが出来る。




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